大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

釜山の奥座敷 海雲台

昔は名の知れた観光地だったが、今は高級住宅地

温泉地 → リゾート地 → 高級住宅地

釜山駅から北東に18キロメートル離れた海岸地域で、もともとは、温泉のある海水浴場として人気でした。私も、足繁く通った観光地であります。

 

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よく遊びに行っていた2006年頃の海雲台

 

もともとは、釜山から行くとなると、かなり時間のかかる観光地だった

鉄道は、東海南部線というローカル線がとおっているだけで、一日数本、ディーゼル機関車が引っ張る客車列車が運行されていました。

釜山駅からバスも出ていましたが、曲がりくねった狭い道がつうじているだけであり、途中、UN墓地のある山、広安里というひなびた漁村を越えて行った先にある温泉地だっただけに、途中の渋滞も含めると、到着するまで2時間は容易にかかりました。

釜山から2時間というと、その当時でも大邸とか大田周辺まで到達できる時間であり、同じ釜山市の中で2時間というのはありえない不便さ。

なんか遠くに行った気分になる遊びに行くには手頃な観光地であったわけです。

 

海雲台の真骨頂は、韓国人の憧れるハワイのビーチを彷彿とさせる美しい風景

海雲台は、山を背に海を望む独特の地形で、ハワイのビーチを彷彿とさせる美しい風景だったことから、1990年代から、急速に観光開発が進みました。

海雲台で、ヘムルタンとか、カルビを食べるなんてのが、結構贅沢でした。
今でこそ、海雲台の食堂は全般的に、値段を聞くのも恐ろしくなるぐらい高価格ですが、その当時はそこそこリーズなブルで、料理も山盛りでした。

見た目はこじゃれたお店でも、ついこの間まで温泉街の商店のオジチャン・オバチャン達がやってる店だから、基本的に田舎の食堂の雰囲気で、材料は近隣の漁港でとれた魚とか、近隣の農家から仕入れた野菜とか肉とか。金は取るけど、とりあえず客には腹一杯食わしとけば文句あるまいという鷹揚さがありました。

その頃、開発が進んだといっても、ここに行くには東海南部線の一日数本、ディーゼル機関車が引っ張る客車列車か、曲がりくねった狭い道を走ってくるバスだけ。
実質的には、自動車で行かなければ話にならず、自家用車を所有していた高所得者層の集まる隠れ家的な雰囲気のある観光地でした。

 

2010年代の海雲台開発により、観光地としての趣が失われる

2010年代に入り、ソウルの現代建設とか韓進重工業とかが本格的に海雲台開発に参入。
釜山駅との間に地下鉄と高速道路が建設され、釜山駅から15分くらいで行けるようになりました。
すごく便利になった反面、高所得者層の集まる隠れ家的な雰囲気が失われてしまいました。

 

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2018年現在の海雲台から広安里、釜山駅方面を望む
高速道路は建設当時存在した広安里の漁村を避けるため、海の上に建設された。
間もなく広安里の漁村は再開発され、タワーマンションの林立する高級住宅地
に変貌した。もちろん、補償金成金の元漁民も住んでいる。

この頃から地元の食堂が消えはじめ、ソウルのチェーン店が進出してくるようになり、食事の値段もうなぎのぼり。メニューもソウルで食べるものと大差なくなり、海雲台ならではのいい加減かつ豪快な漁師飯みたいなものは見かけなくなりました。
釜山の知り合いも急速に海雲台には行かなくなりました。

もっとも、ソウルの風景と比べてもずっと綺麗で都会的な夜景は一見の価値はありますが。

 

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2018〜2022年現在の海雲台
綺麗は綺麗。ソウルでこれだけ綺麗な場所はない。
ただ、韓国でよくある「やりすぎ」感を感じずにはいられない。