大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

なぜか暗さが付きまとうソウル最大のバスターミナル東ソウル総合ターミナル

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発着本数はソウルで一番。施設の大きさはそれほどでもない東ソウル総合ターミナル

韓国旅行でバスを利用するならここへ行けばなんとかなる

ソウルで最も多くの路線の発着のある東ソウル総合ターミナル。
『総合』という意味は、国の所管する高速バスと、道が所管する市外バスの両方が発着するターミナルという意味です。
もちろん、ターミナル近辺を走る市内バスも停車するので、韓国旅行中、バスを利用するのであれば、ここへ行けばなんとかなるというバスターミナルです。

 

場所はロッテワールドのある蚕室の対岸、漢江堤防のわきの変な場所

この東ソウル総合ターミナルは、ロッテワールドのある蚕室の対岸、漢江堤防のわきの変な場所にあります。
地下鉄で行く場合、2号線 江辺駅の向かいにあり、地下鉄からの乗り継ぎは便利です。
この地下鉄2号線の江辺駅。
漢江渡橋のための蚕室鉄橋のたもとにあるため、地下鉄駅ながら高架駅になっています。

 

殺伐とした雰囲気を嫌って多くのソウル市民は利用を避ける

さぞかし、ソウル中の旅客を集めて、さぞかし賑わっているだろうと思いきや、これがさほどでもないというのが東ソウル総合ターミナル。

一応、江辺駅の反対側には、江辺テクノマートというショッピングセンターがあるのですが、テクノという名前なんですが、通常のショッピングセンター。
で、名前と実態が大きく乖離している施設に関して、韓国あるあるなんですが、あまり賑わっていない。

むしろ、すぐ近くにある陸軍基地からの軍人の乗降が多く、比較的殺伐とした雰囲気があります。
この殺伐とした雰囲気を嫌って、多くのソウル市民は、多少の不便を承知で江南の高速バスターミナルやソウルセントラル(ソウル江南)バスターミナルに行くようです。

 

京釜高速道路の慢性的な渋滞対策で誕生した東ソウル総合ターミナル

なぜこんな変なところに総合ターミナルがあるのかというと、京釜高速道路の慢性的な渋滞対策のためです。

京釜高速道路の渋滞緩和を目的に、1989年、中部高速道路が開通しました。
これは一定の効果があったのですが、中部高速道路から、当時唯一の高速バスターミナルであった江南の高速バスターミナルへ向かうためには漢江南岸のオリンピック大路(高速道路)を通っていかなければなりません。

オリンピック大路は片側5〜6車線、計10〜12車線という途方もない規格の高速道路として建設されましたが、1988年の一般供用直後から、まったく車列が動かなくなるほどの極めて深刻な渋滞に悩まされ、中部高速道路の開通がこれに拍車をかけるという事態になりました。

そこで、中部高速道路を降りたところで、当時開通済みであった地下鉄2号線の沿線にバスターミナルを作らざるを得なくなったというのが事の真相のようです。

 

当初の目論見は、渋滞対策のための補完的バスターミナル

あくまで、渋滞対策のための補完的バスターミナルとして開設されたため、駐車場は狭く、旅客設備も比較的こじんまりと作られました。

ところが、京釜高速道路の慢性的な渋滞があまりにもひどかったために、高速バスターミナルから発着地を東ソウル総合ターミナルに移すバス会社が続出。
単にバスが遅れを嫌ったというよりも、マナーの悪い乗客に嫌気がさしたということがこの結果を招いた側面があります。

韓国の高速バス・市外バスは、基本的に到着時間を公開していませんが、それというのも、マナーの悪い乗客対策の側面があります。

もし、公開していたなら、15分でも渋滞で到着が遅れると、運転手に「赤信号でいちいち止まるな」「前を走る自動車を蹴散らせ」と暴言を吐いたり、憂さ晴らしに運転手に暴行する乗客が少なからずいるという問題があります。

さすがに、1時間遅れ、2時間遅れになるのは当たり前というのでは、ごまかしようがない。

ある程度到着時間が読める東ソウル総合ターミナル発着にしたくなるのは当たり前のことなのであります。

 

お急ぎの方は東ソウル総合ターミナルへ。江南発着なら、遅れても文句を言うな

高速バスや市外バスのソウル線は、江南発着と東ソウル総合ターミナル発着のダブルトラックになっていて、お急ぎの方は東ソウル総合ターミナルへ。
江南発着に乗ったのだったら、遅れても文句を言うなというのが暗黙の了解となっています。

そういうことが重なって、ソウルで最も多くの路線の発着のあるバスターミナルになってしまいました。

 

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ソウルに向う高速道路はいつもこんな感じ。左端のバス専用レーンもバスで渋滞している。これで到着時間に遅れないほうがどうかしている。秋夕、旧正月などには「到着時間不明」という案内が出る。それを韓国人は「到着するか不明」と茶化すのだが、通常5時間程度で到着する釜山-ソウル間が、14時間かかったというのはよくあるはなし。渋滞がひどすぎて、バスがガス欠で、本当にソウルにたどり着けなかったというケースもよくある。バスは便利だが、深刻な渋滞が予想される時は、逆に危険。

 

東ソウル総合ターミナル内に駐車できないバスは、江南の高速バスターミナルにバスを回送

もちろん、東ソウル総合ターミナルにそんな多数のバスを捌くだけの施設はないわけで、東ソウル折り返しができないバス会社も続出。
そこで、江南の高速バスターミナルにバスを回送するバス会社が結構あります。

はたまた、いつ到着するか保証はないという条件で、回送便に旅客を乗せたまま江南の高速バスターミナルまで営業してしまうバス会社も多数あります。

 

中部高速道路を通ることで時短効果が見込める場所、大田以南の韓国全土や、江原道からの路線の発着は極めて多いが

そういった経緯から、中部高速道路を通ることで時短効果が見込める場所、大田以南の韓国全土や、江原道からの路線の発着は極めて多いのですが、江南の南部ターミナルから発着した方が時短効果が見込める路線、主に京畿道内のローカル線や、忠清南道発着の路線は江南の南部ターミナルからの発着となっています。

非常にレアケースですが、釜山からソウルの西方の江華島に行くような場合、東ソウル総合ターミナルで乗り継ぎできないというケースもあります。

これは、渋滞が激烈なソウル市内を、路地や山道を爆走できない高速バス規格のバスで横断すると、到着がいつになるかわからないため、あえてバス路線を設定していないというケースになります。

この場合、東ソウル総合ターミナルで釜山からのバスを降りた後、地下鉄2号線で新村に行き、新村駅前から江華島方面行きバスに乗る必要があります。

2010年頃まで新村バスターミナルという、旧鐘路バスターミナルと同時期に存在した旧ソウルバスターミナルの成れの果て、駐車場に毛の生えたような貧相なバスターミナルがあったのですが、遂に取り壊されてしまいました。