大韓民国観察記

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

キムチの基本形 ペッキムチ(白菜トンチミ)・・・北朝鮮式

ペッキムチはすべてのキムチの基本となるレシピ。
白菜の塩漬けに、漢方薬にも使われる薬味を処方した健康食品という設計になっています。
この考え方がキムチの基本です。

このレシピは北朝鮮の『白菜トンチミ』のレシピです。
南の韓国のキムチには欠かせない塩辛は入っていません。
辛くもなく、生臭くもありません。

第二次世界大戦までは、朝鮮の文化の中心は、柳京と呼ばれた現在の北朝鮮平壌にあり、キムチの基本形もまた、平壌で盛んにつくられていました。
朝鮮王朝の宮廷でも盛んにつくられていた関係で、韓国にもレシピが残っています。
ただし、韓国人の味覚とはあわないようで、現在は業務用としてはほとんどつくられておらず、韓国でペッキムチを食べることのできる機会はほとんどありません。

ポルトガルから日本経由で渡来した唐辛子が伝統的なキムチに入っていないのは当然ですが、約3000年前から高句麗人の食卓に欠かせなかった魚介類の塩辛が伝統的なキムチに入っていないというのはおもしろい現象です。

実は、現在のキムチの主原料である結球白菜が中国で開発されたのが約400年前といいますから、それ以前に現在のような白菜のキムチを作ることは不可能でした。
キムチには3000年の歴史があるといいますが、それ以前はどうしていたのかというと、大根でキムチを作っていました。
大根のキムチと相性の悪い塩辛は使われなかったというのが事の真相のようです。

白菜のキムチが作られるようになってからも、しばらく塩辛は使用されなかったというのが、このキムチの存在からわかってきます。恐らく、塩辛の使用は唐辛子の使用とほぼ同時期ではなかったかと考えられます。

北朝鮮では冬の夜、冷たいキムチの漬け汁を麺類やご飯にかけて食べる習慣があります。この食べ方が発達して、様々な北朝鮮の家庭料理ができあがっています。

『白菜トンチミ』は、塩辛が入らない分、味が変わりやすく、生栗を薬味に加えることで、風味の劣化を防いでいます。梨汁を加えることもありますが、これも風味の劣化防止のためのものです。

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[主材料]
白菜 6kg(2株)

[1次塩漬用塩水(濃い塩水)]
塩  150g
水  6リットル

[塩漬時、白菜の軸にすりこむ分の塩]
塩  300g

[副材料(薬味のレシピ)]
大根    500g(1/3本)
細ネギ   20g
からし菜  50g
セリ    30g
白ネギ   20g(白い部分を使う)
にんにく  80g(2個)
しょうが  30g(1かけ)
栗     5個
干しナツメ 5個
岩茸    2枚
干し椎茸  1個
糸唐辛子  少々
松の実   大さじ 1
塩     適宜
砂糖    適宜(グラニュー糖)

[2次塩漬用塩水(薄い塩水)]
水     1.6リットル程度
塩     80g(氷点下に気温が下がる地域なら56gでよい)

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キムチの定義からすると、1週間以上の2次塩漬は必要だが、1日経過したぐらいの浅漬けで食べてもおいしい。浅漬けの状態をコッチョリと言い、キムチとはいわない。