大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

仁川国際空港


仁川国際空港は、韓国にある超巨大な国際空港

人々に素通りされると国家存亡の危機となる韓国の命運を背負った重要施設

強権国家中華人民共和国と、経済大国日本国に挟まれた小国である大韓民国は、その存在感を国際社会にアピールできなければ、間違いなく中華人民共和国に飲み込まれる運命を背負っています。

歴史上、本当に、日本に飲み込まれたことがありますから、中華人民共和国だって、飲み込もうとするに決まっています。

鐘や太鼓を叩いて、慰安婦像のまわりでデモをするというアイデアは、安上がりでよいのですけれども、効果面を考察すれば、明らかに逆効果でしょう。

仁川国際空港に与えられた使命は、大韓民国は、その存在感を国際社会にアピールすること。
まさしく、これが、大韓民国が本気で取り組んでいる民族自決運動なのです。

仁川国際空港は、先代の主力国際空港であった金浦空港と比較しても、異次元水準の巨大さ、豪華さであり、韓国の命運を背負った重要施設という位置付けがあります。

 

仁川国際空港はソウルから遠い。成田以上。

日本の成田空港と比較すると、立地条件の面では明らかに劣ります。

ソウルに着いたかと思いきや、ここから高速バス(空港バス)でソウルまで一時間半、時速140kmで突っ走る空港鉄道の直通列車で、ソウル駅まで45分と聞いてがっくりするというのはよくある話。

 

空港鉄道でソウル駅まで行くルートがこんな感じ。ほぼ直線ルートをノンストップで、時速140km/hで疾走して45分なので、これ以上早く移動する手段がない。ノンストップの直通列車は1時間に1〜2本なので、待ち時間込みの実質の移動時間は1時間15分ぐらいになる。

 

実は、北朝鮮との軍事境界線近くの旧北派工作員養成施設跡にある

なんでこんな辺鄙な場所に空港が作られたのかというと、前人未到規模の大空港計画を実現できる場所は、北朝鮮との軍事境界線近くにある広大な未開発区域しかなかったから。

韓国政府の説明によると、北朝鮮国家統一された暁には、朝鮮半島の中央になる戦略的立地というのが、ここが選ばれた理由のようです。

北朝鮮仁川国際空港を武力攻撃してこないのは、中華人民共和国を牽制するという目的において、韓国と利害が一致しているからという見方があります。

でも、ま、普通、いくらそういう理由があっても、あんなところに重要施設はつくらんでしょう。

最初に、前人未到規模の大空港計画があって、それを安価で迅速に作れる場所ということで、こうなったと考えるのが妥当です。

ちなみに、空港が旧北派工作員養成施設(実尾島)の隣に作られたと知って、実は韓国人も驚いたという次第。

空港第1ターミナルビルから、自動車で20分ぐらいのところに、旧北派工作員養成施設(実尾島)があります。

 

国際的アピールが目的の巨大空港だから、利便性は二の次だったりする

仁川国際空港は、とにかく巨大な24時間空港です。
保安検査を出発1時間前に済ませたからといって安心してはいけません。
1つの旅客ターミナルは、端から端まで歩いて30分はかかります。
搭乗口と逆方向に間違って歩いていったら、悲惨なめにあいます。

しかも、出発ロビーは万国博覧会並みのアトラクションがあちこちに仕掛けられています。
そういったものに脇目もふらず飛行機まで一直線なんて、無理無理。

 

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巨大なショッピングセンターのような第1ターミナル出発フロア(制限区画内)

 

シャトルトレインはワンウェイ方式なので要注意

さらに、サテライト(搭乗棟)が現在1つありますが(101~132番搭乗口)、そこへはシャトルトレインに乗って行かなければいけません。
ワンウェイ方式なので、間違って乗っていったら、元の旅客ターミナルに戻ることができないという代物。
間違えたら一巻の終わりです。

 

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飛行機へと急ぐ旅客の前には次々と回避困難な障害が・・・ああ飛行機に乗り遅れる。第1ターミナル出発フロア(制限区画内)、シャトルトレイン駅前でのコンサート。

 

当初案では、並行滑走路5本、ターミナルビル1棟、搭乗棟(コンコース)4棟という計画だった。ターミナルビル開業後、搭乗棟(コンコース)を1棟増築したところで、この方式では、出入国審査場や手荷物受渡場の容量が小さく、大量の旅客を捌ききれないばかりか、大韓航空アシアナ航空など韓国系航空会社の予備機材の駐機場所が不足してしまうことが明らかとなり、2棟目以降の搭乗棟(コンコース)の増設は中止された。代わって、第2ターミナルビルが建設されることとなり、従来のターミナルビルが、第1ターミナルビルとなった。

 

第2ターミナルビル建設に伴い、空港鉄道は延伸された。第2ターミナルビル地下には、搭乗棟(コンコース)を結ぶシャトルとレインがすでに敷設されていたが、制限エリア内の移動用に特化した構造であったため、空港鉄道の延伸は必須であった。第5滑走路は、当初、時期尚早として、暫定的にゴルフ場用地として民間に貸していた。このゴルフ場は、立地のよさから、結構儲かるらしい。最近になって第5滑走路用地開発の話が具体化しているが、ゴルフ場が立ち退きを拒んで、訴訟沙汰になっている。

 

開港から15年以上経ち、素晴らしくなったところで、余計なことをして改悪する人(文在寅大統領)がいた

とはいえ、開港から15年以上経ち、運営も脂ののった良い状態になり、飲食店もハズレなし。マッサージ(トランジットの時、長時間の搭乗で痛くなった腰や背筋に効く)、宿泊施設も充実し、サービスも上々といいことづくめだったのでした。

しかし、世の中のお偉方の中には、うまくいっているものを、無理矢理、自分の思い通りに改変して、ぶっつぶさなければ気が済まない人がいるようです。
それは言わずと知れた例の人、文在寅大統領のことです。

 

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手前のクワガタみたいな建物が第2ターミナル。真ん中がサテライト(搭乗棟)。奥が従来からの第1ターミナル。飛行機の駐機するエプロンを挟み込むようにターミナルビルを作ってしまうという致命的な設計ミスを犯したがために、搭乗時に、第1ターミナルと第2ターミナルを間違えると、乗り遅れ必至、挽回手段がないという、世界でも稀な致命的欠陥を抱える空港になってしまった。

 

第2ターミナルの単体の設計は、非常に優秀で、非のうちどころがなかったが

2018年に第2ターミナルがOPENしました。
要するに、ここに仁川国際空港改悪の幕が切って落とされた格好になっています。

第2ターミナルは、設計は非常に優秀で、単独で存在する限り、悪くはないんです。
第1ターミナルのやたら広くて歩く距離が長すぎるという各方面からの批判を参考に、空港鉄道駅をターミナル直下に配置するなど、移動時間を短縮する工夫が各所になされた斬新な設計となっています。

 

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第2ターミナル出発フロア(制限区画内)。手狭な第1ターミナルの反省から、建物の設計には上下方向の大きさだけではなく、面的な広がりがもたせられている。非常に巨大。パリ万博の水晶宮に似たガラス天井、天井を支える柱にはガウディーのサグラダファミリアの意匠がみてとれる。設計者のこの建物に対するこだわりは、半端ではなかったようだ。

 

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第2ターミナル出発フロア(制限区画内)の中にあるアトリウム(公園)。実は、第1ターミナルも竣工当初はアトリウムだけではなく、ビオトープ(坪庭)が、あちこちにあったが、空港施設の増設で、姿を消した。

 

仁川国際空港改悪の根本的な原因は、第1ターミナルと第2ターミナルとの連携がとれていないところにある

ちなみに、第2ターミナルは従来の第1ターミナルとの実質的な連絡手段はありません。

第2ターミナルと、第1ターミナルは、直線距離で5.5km離れているため、第2ターミナルと第1ターミナルを間違えると、乗り遅れ必至という恐ろしさ。

大韓航空アシアナ航空などの韓国系航空会社の場合で、シティーエアターミナルで、搭乗手続きを終え、預託荷物を預けた後、第1、第2ターミナルを間違えたのなら、出国審査後に、地下のシャトルトレインを使って、第1、第2ターミナル間を移動することは可能。
可能ですが、あくまで救済処置といった趣き。

搭乗手続き前に間違えると、そもそも出発カウンターがないのですから、空港の外を大回りして、第1、第2ターミナル間を移動する必要があります。

空港鉄道で6分と案内されていますが、一般列車が10分間隔ぐらいの発着で、そもそも旅客ターミナルと駅が離れているため、出発1時間前に間違いに気付いてもアウトです。保安検査の長蛇、出発フロアの巨大さを考えると、まず飛行機の出発には間に合いません。

最速は、タクシーでぶっとばしてもらうので、おおよそ10〜15分。これなら、出発1時間前に間違いに気付いてなんとか間に合うかもしれません。

高速道路は空港敷地を大きく迂回する関係で、第1ターミナルまでは15km以上あるのでヨロシク。
無料シャトルバスだと、所要時間約15分。これでも、空港鉄道よりちょっと速いくらいのものです。

韓国人にとっても、第1ターミナルと第2ターミナルを間違えた時の対処法は、抜き差しならない深刻な問題。自動車でソウル方面から来た場合、空港入口JCTは比較的わかりやすいので問題ないが、自動車で仁川大橋から空港に来た場合、空港新都市JCTが曲者。空港新都市JCTをうっかり通過してしまうと、第1ターミナルに行くことができず、第2ターミナルに行くしかなくなる。