大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

ソウルの市内バスの乗り方

ソウル市内バス How To

難しいとはおもうけど、それでも乗りたいという人への指南書。
バスでソウル市内を移動すると、地下鉄で30分以上かかる場所に10分そこそこで到達できるので、超便利ではあります。

 

ソウル市内バスの標準仕様

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ソウル市内バスの標準仕様(ブルーバス)
昔は、運行会社ごとにバラバラでした。あまりに不便だったため、現在ではソウル市内のバスの仕様が共通化されています。
車体前面の行先表示は始発と終着点を表示しています。
ソウルのバスは、営業所のあるソウルの外れの辺鄙な所を出発し、市の中心部を経由し、折り返し施設のあるソウルの外れの辺鄙な所に向かうので、行先表示は、ソウルの外れの辺鄙な地名が書かれており、ほとんどアテになりません。
経由地が分からないと、どのバスに乗ればいいのかがわかりません。
車体側面の行先表示を頑張って読まないと乗れません。
よくやるのが逆方向の路線に乗ってしまう失敗。地元民でもたまにやらかします。

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この761番バスの場合、正面の行先表示器には、「761 津寛 ←→永登浦」と表示されている。鉄道では直行できない永登浦から弘大入口弘大入口からヨンシンネというソウルでも結構賑わっている繁華街を短時間で直行する重宝する路線であるが、正面の行先表示器を見ただけでは、そのことがわからない。

 

交通カード(キョットンカードゥ)

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面倒なバスの運賃の計算は、これをピッっとかざせば自動的にやってくれるので、韓国語の会話能力がなくてもバスが利用できる便利なカード。
ただし、交通カードを入手したりチャージしたりするにはコンビニに行ってレジで口頭でオーダーするか、地下鉄の駅に行って券売機で対応します
肝心のこの部分でえらくハイレベルな韓国語能力が要求されるという、矛盾に満ちたシステム。
コンビニで交通カードを入手するときは、『キョットンカード チュセヨ』と言えば良い。
注意すべきは現金をカードにチャージするとき。
韓国で現金をカードにチャージする場合『チャージ』と絶対に言ってはいけない
『充電(チュンジョン)』と言わなければならない。
なぜなら、日本語の発音で「チャージ」と言うと、韓国語の女性器の核心部分を指す言葉の発音とまったく同じになるから・・・という話は、韓国でもずいぶん有名になって、日本人にはあえて「チャージしますか?」と聞いてくる韓国人も増えた。
バス車内で残高不足に気付いてもチャージできない。

現金払いだと料金が1割以上割高なので注意
なお、交通カードの信頼性は最低。
交通カードはよく壊れる。
読み書き不能になった場合、返金不能になるので、韓国人は空港バスに乗る時など特に必要のある時以外は1万ウォン以上は基本的にチャージしない

 

バスの乗り方

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(1)交通カード現金併用車は、前乗り後ろ降り。乗ったら、運転手横のカード読み取り機にカードをタッチする。
交通カード専用は、前後乗り前後降り(基本は前乗り後ろ降りであるのは変わりないが)。韓国人乗客が前後のドアから乗り降りしていたら、それに従う。
乗ったら、乗降口横のカード読み取り機にカードをタッチする。

交通カードを使えば、面倒な料金計算は自動でしてくれる。
市内均一料金で、おおよそ1乗車150円、レッドバスは市内均一区間1乗車250円と、地下鉄よりぐっと安い。
バスの料金体系は、昔は単純だったが、今は市内均一ながら、33区分と非常に複雑になっており、料金がいくらになるかは乗客がきちんと理解して、正しい金額を料金箱に投入しなければいけない。
現金払いの場合は、運転手の横の運賃箱に運賃を投入する。
たかが、200円、300円程度のお金で、ややこしいことになるのは、御免被る。
それで、韓国人はほぼ100%交通カードを使う
現金払いで、おつりがある場合はややこしい。
投入する金額をあらかじめ乗客が言ってから投入し、釣り銭をもらう必要がある。
この一連の流れを韓国語でやりとりする。
旧式の現金用運賃箱と、釣銭支払器があるけれど、昔、こういうの、日本にもありましたね。

バスの場合、地下鉄と違って、交通カードをタッチする前に運転手に言えば、1枚のカードで2〜3人分の精算をまとめてする裏技が可能ではあるが、これもあまりにも面倒なので、やる人はまずいない。
前後の乗降口から乗降が自由にできた方が、停留所での停車時間を大幅に短縮できるので、バスの運転が非常に楽になるということで、最近は交通カード専用車が急速に増えてきている
見分け方は、特に「交通カード専用」の表示はなく、運転手横にあるはずの運賃箱と釣銭支払器が、片付けられているバスが、交通カード専用車である。
ということは、市内バスが交通カード専用になるのは既定路線である。

料金は、市内均一ながら、33区分と非常に複雑。交通カードを使えば、この面倒な料金計算は自動でしてくれる。

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(2)降車ボタンを押して降車の意志を運転手に伝える。

 

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(3)降りるときは、カードを読み取り機に交通カードをタッチしてから降りる。
ソウル市内バスではバス乗り継ぎ割引があり、降りるときにタッチした時刻から計算して30分以内の乗り継ぎ乗車なら、基本的に、乗り継ぐバスの料金が無料になる。
タッチせず降りても、乗継割引が無効になるだけで、特に問題が起きることはないが、乗り継ぐ場合は、損害が大きい。

バスに案内放送があるにはあるが、早口の韓国語を聞き取るのに相当慣れが必要。
最初に次の停留所の案内があり、続けて次の次の停留所の案内がある。
韓国人でも、この早口の案内放送を聞き取ることは難しいようで、次の次の停留所の案内を、次の停留所の案内と勘違いして降車ボタンを押すことがよくある。

 

ソウル市内バスの種類

空港バス 番号は赤色6000番台
ソウルの中心部と、仁川国際空港、金浦国際空港を結ぶ長距離路線。
基本的に、金浦国際空港を経由せず、仁川国際空港へ向かう便が圧倒的に多い。
行き先は、バスのフロントガラスや車体横のガラスに書いてある。
ソウルの主要停留所から金浦国際空港、仁川国際空港へ向かう。
空港鉄道より料金は割高であるが、日本の空港アクセスバスの半額程度の運賃である。
乗り心地がよく、出発・到着ロビー前に横付けしてくれるため、重い荷物を持って巨大なソウル駅や、仁川空港内を歩かなくても済むため、人気がある。

ソウル市内バスの特急バスの位置づけだが、もともと市外バスの直行バスから派生してできたバスなので、未だに「空港バス」とは言わず、「空港行き直行バス」と言う韓国人は多い。
路線ごとに運賃は異なり、乗車時に、運転手に運賃を聞いて支払う。
ソウル市内から仁川国際空港までだと、日本円で1500円前後。
お釣りは運転手が出してくれる。
他の市内バスと異なり、接客は丁寧であることが多い。
仁川国際空港から乗るときは、基本、空港の空港バスカウンターで料金を支払い、切符をもらう。

以前はこんな感じの料金箱があった。これは金浦空港線なので、7000ウォン。

現在は、空港バスも、交通カード専用車化が進んでいる。
交通カードで支払う場合は、乗車時に機械にタッチするだけで、運転手と会話することは特にない。

 

 

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レッドバス 番号は5000〜7000番台を除く赤色4桁
ソウルの中心部とベッドタウンを結ぶ長距離路線。
急行運転する。
旧座席バス。ソウルから西へ向かうバスのなかには、市外バスを市内バス化したものもある。
旧座席バスの番号表示が赤だったんで、それがそのままバスの色になっている。

旧座席バスの乗車作法を引き継いでいる。
独立料金体系を取り、走行距離と時間も長くなっている。

ソウル中心部から目的地に行く運行形態が主体で、正面の行先表示に目的地が書かれている。
レッドバスの止まる停留所は大きく、バスもちゃんと停留所の前に止まるので、乗りやすい。

大抵乗客を満載して走っている。

 

 

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ブルーバス 番号は3桁 深夜バスは「N+2桁」番号がつく(料金が違う)
ソウルの複数の繁華街を結ぶ長距離路線。
江北と江南を通しで走るのがお約束。
なぜブルーかというと、漢江を横断するバスだかららしい。
建前上幹線バスと言われているが、渋滞が激しく乗降客の望めない幹線道路をとおることはあまりなく、住宅地の中を抜け道を通るが如くウネウネ爆走していく傾向がある。

当然住宅街は一方通行の道路が多いため、往きと帰りの経路が全然違う場合が結構ある。
バス会社にとっては、速さが命の市内バスなので、渋滞がひどくなって遅延が増えると、突然会社都合で運行経路が変更になる。
いつものバスに乗ったら変なところに連れて行かれたということがしゅっちゅうある。

このバスに乗るコツは、江北と江南の間の移動に使うこと。
ひたすら、路線番号を頼りに路線を覚えること。
覚えた路線番号のバス以外は乗らない。

初めて乗る路線では、経路中の地下鉄駅付近のおおよその目的地に近づいたら、窓の外の風景を見てさっさと降りること。
予想外の経路に入ったら、地下鉄駅の周辺で、すかさず降車ボタンを押して降りること。

でも、江北と江南の間の移動にやたら時間の掛かるソウル市内にあって、ごく短時間で江北と江南の間を移動できる貴重な交通手段である。

 

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グリーンバス 番号は4桁 5000〜7000番台 深夜バスは「N+2桁」番号がつく(料金が違う)
江北と江南を通しで走らないバス。ソウルの主要地下鉄駅と地下鉄の通らない鉄道空白地帯の住宅地を結ぶ短距離路線、支線バスという位置付けが基本である。
だが、渋滞の頻発する漢江渡橋をやめ、ブルーバスから降格してきた長距離グリーンバスも結構ある。
緑は、ソウルの山の緑を表しているといわれる。

地下鉄駅と終着点の間を往復する『支線バス』と、地下鉄駅周辺を循環する『循環バス』が制度上存在するが、ソウル市民は、そもそもブルーバスとグリーンバスの違いさえさほど気にしていないので、『支線バス』と『循環バス』の違いはどうでもよいらしい。
突然会社都合で運行経路が変更になるのはブルーバスと同じ。
これは大変迷惑で、これがあるからソウル市民のタクシー利用率はかなり高い。

 

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イエローバス 番号は2桁
なんで黄色かというと、昔、ソウルの市内一般バスは全部、黄色のバスだったから。
ソウル市としては一番重要な位置付けの都心循環路線に、黄色を採用したというわけ。

しかし、その実態は、ソウル市内を歩いていて、ほとんどみることはない閑散路線。
地下鉄が密集して走る便利な場所を走る路線だけに、あえてこのバスに乗る必要がないから。
当初は数多くの路線を擁していたものの、最終的に、南山循環1路線のみとなってしまい、たまにみかけても、最近ではなかなかお目にかかれないオンボロバスだったりする。
バス会社のやる気というものをあまり感じられない種類のバスである。

・・・と思っていたら、2020年のコロナ禍を機に、遂にオンボロイエローバスは駆逐され、黄緑色のソウル循環バスになってしまった。都心の観光地を巡るバスに再編されたようである。

 

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マウルバス 番号は、「마포 09」のような感じで、所属する区名と2桁の番号
グリーンバスと非常に紛らわしいバス。
観光客にはあまり縁のないバス。

もともとはソウルの中心部の住宅街を循環運転しているバスで、特に時刻表なんてない。
来たら乗るという感じ。
昔から緑色のバスだったんで、今も緑色。

最近では高級アパートが林立する巨大な住宅団地が地下鉄駅と離れたところに建設されることが多いのだが、各々の住棟と地下鉄駅の間を循環運転しているバスでもある。
基本的に区をまたいで運行されることはない。

道路工事などの理由で頻繁に運行経路が変わるとはいうものの、ご町内を循環するバスなので、だいたいの走行経路は変わらない。
狭い路地を走る関係上、車体が小さなバスが多いが、夜遅くまで乗客を満載していることが多いバス会社の稼ぎ頭。
それで、グリーンバスと同サイズの車体の大きなマウルバスも多い。
ナンバーの上に「マウルバス」と書かれているので、それで識別する。

 

往路と復路の経路が違う路線が多いので要注意

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バスの路線図は、主要バス停などで掲示されているが、往路と復路と経路が異なる路線や、循環経路になっている路線があるので、注意が必要。もちろん、ハングルだけの表記なので、ハングルの読解力も必要。

主要バス停では、キオスク端末化が進んでいるが、ソフトのバグで、路線案内はおろか、接近表示も異常をきたしているケースが目立つので、ソウル市民はあまりあてにはしていない。

 

Google Mapがソウル市内バス路線検索の最強ツール

ソウル市内でGoogleマップを表示し、出発地と目的地を入力し、経路検索を行うと、自動的に市内バス検索と連動し、目的地まで、何番の市内バスに乗ればよいかを表示してくれる。
市内バスをよく使用するソウル市民はだいたいこの方法で市内バスの検索をしている。
以前なら、地元民でなければ絶対乗れなかった、ややこしいマウルバスも経路検索してくれるところがよい。
市内バス検索アプリは結構たくさん出回っているが、ポップアップ広告てんこもり、個人情報の入力必須といういやらしい感じのソフトばかりなので、Googleマップを使った方がよい。

ソウル駅からソウル高速バスターミナルをGoogleマップの経路検索した場合。レッドバス9007番で10分、同じ経路を走るブルーバス401番で17分と出る。地下鉄だと、4号線と3号線を乗り継いで、30分以上はかかる。出発地と到着地が地下鉄駅になっているとバス経路検索が起動しないことが多いので、地下鉄駅付近のバス停マークを出発地と到着地に指定するのがコツ。あと、道路は右側通行になるので、反対側行きのバス停を指定しないように気をつける必要がある。

 

レッドバスの経路の詳細を表示すると、乗り換えなしで高速バスターミナルに行けることがわかる。


さらに詳細を表示すると、途中停留所は3箇所であることがわかる。ちなみに、同じ経路走るブルーバスだと17箇所バス停がある。