大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

ソウル地下鉄4号線

ソウル市内でも比較的地上区間が多い路線。京畿道仁川市から、大回りして果川市に入り、ソウルを通って、京畿道議政府市に至る長大路線である。路線全体をみてみると、南北の幹線という以外、これといった特徴のない路線でもある。路線中央付近で、ソウル駅、明洞、南大門市場、東大門市場を経由するので、市場めぐりには欠かせない。

 

ソウルの南北幹線として建設された4号線

建設しやすい場所に建設したため、沿線にスラムが多く、乗客マナーが悪い問題があった

もともと、ソウルの庶民の街を南北に結ぶ総延長約30km長大幹線として建設されました。
建設当初、沿線にはスラムが多数あったため、乗客層のマナーの悪さや、乗降客の多さはある程度予想されていました。
しかし、大幹線として計画された関係から、地下鉄1号線並みの大型電車で運行されることになりました。
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ソウル市内だけを走っていた20年前の路線図だが、水色の路線として描かれている。
現在は、延伸が相次ぎ、1枚の路線図に収まらないほどの長大路線となっている。

 

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現在は長大路線なので路線図が渦を巻いている。
コロナパンデミックを機に、全区間通しで運行する列車と、ソウル市内だけを走る列車の2系統に整理された。ソウル市内では3〜5分間隔で次々列車が来るが、末端部では10〜15分間隔程度になる。端から端まで乗り通すと2時間かかる。南端の烏耳島(オイド)駅は、仁川市の中心街近くにあって、かなり発展しているのだが、4号線が水原を通らない関係からか需要が少なく、4号線の運行本数は少ない。盆唐線で水原に出てから1号線でソウルに向かった方が早い。

 

地形的障害物は極力避け、河川などは地上を走って橋で越える無難な設計

南山や漢江など、地形的障害物は極力避け、地上を走って橋で越えるなど無難な設計に終始している点が特徴的で、ソウルをまっすぐ南北に走っていないので、到達時間の面では市内バスにおおきく水を開けられています。

 

ソウル駅は地下鉄4号線沿線。ソウル駅前には地下鉄1号線の「ソウル駅」駅があって、その横に地下鉄4号線の「ソウル駅」駅が同居している。地下鉄1号線の駅は、どの駅も大きく立派で、「ソウル駅」駅も例外ではない。標準サイズの地下鉄4号線の「ソウル駅」駅は、目立たず、こじんまりとしている。

違法な物売りや乞食の多さは韓国人ですら度肝を抜かれるレベル

沿線の環境から、車内の物売りの多さは、4号線がダントツですが、乞食も多数いました。
「〇〇さんの生活支援に御協力願います」と書かれた募金箱を持って、大抵ラジカセを肩にかついで、大音量で讃美歌を流して、車内をうろつくのが乞食です。
地方から上京して初めて4号線に乗った韓国人は、例外なく度肝を抜かれます。

 

明洞も地下鉄4号線沿線。日本の植民地時代、明治町という日本人居住区だったが、大韓民国成立後、明治町を韓国式の名前に変更し、明洞となった。意味的には明治町も明洞も同じ。明治町の中央には、三越京城支店があり、ハイセンスな街だった。朝鮮戦争時、激戦地となり、丸焼けになった。その後、隣接する南大門市場の場外市場的位置づけの商業地となり、現在に至る。三越京城支店を引き継いだ新世界百貨店本店がある関係で、ブランド品の店が多く集積した。

今や総延長堂々71kmもの長大路線

1号線と電車の規格が同じなので、早くから国鉄線との相互乗り入れの話があり、国鉄果川線、国鉄安山線と相互乗り入れを果たし、総延長堂々71kmもの正真正銘の長大路線になりました。まだまだ延長計画はあります。

 

南大門市場も地下鉄4号線沿線。ただし、最寄りの駅名は会賢(エヒョン)なので注意。南大門市場は昼間の市場で、店が閉まるのも早い。隣接する明洞が絶賛営業中の時間帯でも、日没とともに、店は閉まってしまう。というのも、かつて、ソウル最大であった南大門市場は、治安極悪の伝統市場としても有名で、夜間の営業は危険だった経緯があるためである。それが原因で観光客に敬遠され、ソウル最大の市場の地位を東大門市場に奪われた。

 

電鉄区間では地下線区間が多く、地下鉄区間では地上線区間が多い

電鉄区間では地下線区間が多く、地下鉄区間では地上線区間が多いのが特徴で、全線交流送電にすればよかったとも思えるのですが、電鉄は送電能力に余裕のある交流2万5千ボルト送電。
地下鉄はトンネル断面を小さくするため直流1500ボルト送電。
地下鉄区間と電鉄区間では送電方式が違います。

電車は全車、車上切り替え式の交直両用車という具合で、地味に高性能車が揃っています。
1号線と同様、デッドセクション通過時には車内電灯はいったん消えますが、明るい地上でデッドセクションを通過する1号線と違って、4号線はトンネル内でデッドセクション通過となるので、車内は真っ暗になります。
これ、4号線に乗り慣れていない人は、マジでビビリます。

それと、電鉄区間は左側通行。
地下鉄区間は右側通行。
地下トンネル内で立体交差して走行経路が左右入れ替わります。
これ、4号線に乗り慣れていない人は、マジでビビリます。

 

東大門市場も地下鉄4号線沿線。ただし、東大門の下にある大きくて立派な地下鉄駅は地下鉄1号線の駅で、地下鉄4号線の駅は隣接してあるこじんまりした駅。地下鉄4号線の駅はもうひとつあり、地下鉄2号線、地下鉄5号線の駅とともに、DDP東大門デザインプラザ(旧:東大門野球場)の外れの方にもある。東大門市場は、夕方5時からはじまり、朝5時に終わる夜の市場である。料金の安い夕方遅い飛行機で到着しても、余裕で遊びに行ける観光地として、根強い人気がある。ただし、深夜に東大門市場に集まるタクシーは高確率で雲助タクシーという噂があり(善良なタクシーは雲助タクシーに嫌がらせされるので東大門市場に近寄れない)、注意が必要。

 

電鉄区間は長いが、電鉄区間内でも『地下鉄4号線』と言う

ちなみに、現在のソウル地下鉄1号線では、国鉄線との相互乗り入れが進んで、運転距離が250kmに及んでいますが、肝心の地下鉄1号線区間は2.5kmであるがゆえに、地下鉄というより、『首都圏電鉄』の扱いになっています。
これに対して、4号線は地下鉄区間が長いため、相互乗り入れ区間でも『地下鉄4号線』の扱いです。

地下鉄1号線と4号線は、ソウル市の北と南で繋がっており、相互に旅客輸送を補完しあう関係になっています。