大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

湖南線

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起点 大田操車場
終点 木浦駅
駅数 48駅
路線距離 252.5 km
線路数 複線

京釜本線の支線として日本が敷設しスタートした湖南線

釜山港が、戦争等で使えなくなった時、木浦港を使用するための予備ルート

湖南線は、京釜本線の支線として日本が敷設した路線で、当初、木浦港と京城(けいじょう)を結ぶ鉄道として計画されました。
釜山港が、戦争等で使えなくなった時の予備のルートとして木浦港が整備され、湖南本線は緊急時の予備ルートとしての意味合いが強い路線として建設されました。

湖南とは、全羅道を指す高麗時代以前の古い呼び方で、現在でも、韓国人は『全羅道』とはあまりいわずに『湖南(ホナム)』といいます。

ちなみに、釜山は『嶺南(ヨンナム)』、江原道は、『嶺東(ヨンドン)』といいます。

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日本の鉄道建設は嫌われるどころか、待望されてしまうという大矛盾

ところで、先行する京釜本線、京義本線を通してみると、沿線の朝鮮人からは、集落のそばを通してほしかったと意外な苦情が殺到しました。

というのも、鉄道が開通する前、朝鮮王朝では街道整備がかなり杜撰であり、釜山から漢城(現在のソウル)まで、早馬でも1週間〜半月かかったというものすごさ。
早馬と言っても、走るどころか、止まっている時間の方がはるかに多かったためです。

日本が朝鮮半島を植民地化する際、陸路、海路は全くあてにならず、蒸気船を日本から持ち込まなければ朝鮮半島を移動できませんでした。

これが、鉄道が通れば、半日〜1日で朝鮮半島を移動できるようになったというのですから、朝鮮人が唖然となったというわけで、うちにも鉄道を通せという話になったというあんばい。

 

龍山駅が現在の位置にあるのは、漢城(現在のソウル)の熾烈な鉄道敷設反対を見越した対策であったが・・・

漢城(現在のソウル)など、当初、日本で起こったような熾烈な鉄道敷設反対を見越して、漢城駅を、王宮から見て南山を挟んで反対側の現在の龍山に設置したのですが、すぐさま王宮の横に鉄道駅がないのはおかしいというクレームが沸騰し、南大門駅(現在のソウル駅)、西大門駅が開設され、景福宮の横に鉄道が横付けされるようになりました。

 

朝鮮の鉄道はどれも閑散線というもうひとつの問題が大田という都市を生む

釜山と京城を結ぶ朝鮮半島の幹線、京釜本線は、開通当時、3~4両の客車を牽引する列車が1日数本という閑散線。
それよりも閑散とすることが明らかな湖南本線。

湖南線は、直接京城まで建設するのは無駄が多いということで、朝鮮半島中部の田んぼのど真ん中に京釜本線との接続駅が建設されました。

一応、鉄道駅誘致運動のあった儒城から歩いて1時間程度で行ける京釜線上(ちょうど川岸のそんなによい条件ではなかった田んぼに京釜線が通ていた)に接続駅が建設されました。

駅の名前は、何のひねりもない純和風の名前。『大田(おおた)』。
これが、後に韓国読みされ、『テジョン』という名前の駅になります。
後に、儒城と大田駅の間の開発が進み、大田という街ができあがります。

大田という街は、それこそ、湖南線のために作られた人工の街で、筑波のような人工的な都市区画が特徴の街です。
現在は大田市に合併されていますが、儒城など古くからの朝鮮人の街が郊外に点在しています。
これといった特徴のない韓国人にはあまり人気のない街なのですが、とにかく韓国全土どこへ移動するにも便利な場所なので、出張の多い人を中心に、消去法でこの街が住む場所として選ばれることが多いようです。

 

極力朝鮮人の集落に沿うように作られた関係で、湖南線はウネウネと曲がりくねった路線になった

湖南線は、極力朝鮮人の集落に沿うように作られた関係で、ウネウネと曲がりくねった路線になってしまいました。

スピードが出せないので運行速度は遅く、このことから、湖南線沿線では高速バス路線が早い段階から発達しており、旅客の移動の主流は高速バスが主体となっています。

現在は高速運転に対応できるように、線路を移設する工事を進めています。

また、現在は、湖南線高速化のため、大幅に軌道改良が行われ、京釜線と湖南線との分岐点は、大田操車場という駅に移っています。

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大田操車場駅
KTX高速線(北半分)と、KTX高速線(南半分)と、京釜線と、湖南線が1点に交わる韓国随一の交通の要衝で、これら全ての列車が必ず通過する、韓国の国家安全保障上でも、ものすごく重要な分岐器がある。
この分岐器のおかげで、KTXの高速列車は自在に在来線に乗り入れることができる。
韓国有数の大駅。韓国人でここの存在を知っている人は稀だが、日本人の鉄道マニアにはとても人気がある(特に配線・ダイヤ関係が好きな人)。
ただし、旅客扱いがまったくないので、旅客列車はすべて通過。
ここから鉄道には乗れない。
韓国では、旅客扱いがまったくない大きな駅が比較的多い。