大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

釜山国際旅客ターミナルの移転話

 

f:id:sirius-B:20191023230344j:plain

旧国際旅客ターミナル
李承晩時代の雰囲気を残した建物は、なかなかにして殺風景で、初めて韓国に入国する日本人をビビらせる効果は充分にあった。大型船が到着すると、荷物の運び屋のオバチャン達が釜山税関職員相手に、丁丁発止の口論が始まる。まともに関税をかけられたら商売あがったりなんで、釜山税関職員に賄賂を渡そうとするのであるが、そうはさせじとする釜山税関職員との口論がまたすごい。到着ロビーのド不味いうどん屋、ドデカイ釜山銀行の両替屋、殺風景な宅配便の荷物引き受け所、見送りに来た韓国人ですら思わず引いてしまう場末の雰囲気を醸していた。本当の移転理由は、釜山税関職員の賄賂撲滅だったともいわれる

日本により造成された歴史ある釜山第一埠頭にある釜山国際旅客ターミナルであったが

あまりの混雑ぶりに、遂に放棄されてしまいましたとさ(あくまで建前論として)

屋上に自動車がいっぱい駐車したビルに、関釜フェリーの星希号が横づけされていて、なんだかすごくゴチャゴチャした雰囲気ですが、ここが、1905年以来日本によって建設され、使い続けられてきた釜山第一埠頭。

屋上にある自動車のうちのかなりの数が、日本の「なにわ」ナンバーだったり、「山口」ナンバーだったり、「北九州」ナンバーだったりするんですけど、ターミナル隣の釜山税関で輸入証明書を発行してもらうと、日本のナンバーで、韓国国内を走行できます。

実はその逆も可。

そのため、大阪港ではハングルナンバーの自動車が走っています。

細かく言うと、日本が造成した第一埠頭は、隣のコンテナ置き場の部分で、この旅客ターミナルの部分は、大韓民国成立後に埋め立て拡張された部分になります。

昔はコンテナ置き場の場所が釜山桟橋駅で、中国大陸からの列車が連絡船に横付けされたのですが、現在は船舶が大型化し、荷役の邪魔だということもあって、釜山駅が1km先へ移転してしまいました。

第一埠頭は、増え続ける旅客を捌ききれず、万年ラッシュアワー状態。
並ぶ人の間を、ここは築地市場かと思うぐらい、山のような段ボールを積んだ台車が縦横に走り回り、危険なことこのうえない。
当然、充実した免税店などを作る場所もなく、入国管理と荷物検査だけの施設で成り立っているような状態。

 

f:id:sirius-B:20191023231302j:plain

ビートル発着だけだと、荷物検査場から伸びた行列が2Fロビーで止まる程度だが大型船舶の発着と重なると、2Fロビー全体が人で溢れかえる

 

f:id:sirius-B:20191023231509j:plain

行列の行きつく先は荷物検査と出国審査
ドアの向こう側からの写真撮影は禁止。だが、撮影可能なドアの外から写真を撮ってもしっかり出国検査場の写真が撮れるという雑な構造。
そもそも大型船舶の客の場合、ガソリン、灯油の持ち込みすらチェックの必要はないくらい持ち込み規制はゆるいし(ガソリン、灯油類を車両甲板でタンクローリーごと運んでいるから)、荷物運搬が主目的で乗るから、肉、野菜、漬物、何でも持ち込んでくる(日本で降りたら、検疫場に放り込む)。
ビートルの発着と重なって客が混ざると、検査官が、航空機並みのビートルの基準にあわせて大型船舶の客の荷物検査もするようになるので、荷物検査場は混乱し、収拾がつかなくなる。

一等船客専用のVIPラウンジは、くたびれた応接セットと予備の丸椅子と、灰皿が置かれた会議室で、資材置場兼用というムチャクチャぶり。
座れるだけマシでしょというかんじ。

北朝鮮平壌空港もこれほどひどくないというのは有名な話。韓国の演歌を聞いていると、このカオスっぷりが釜山らしさ、釜山の旅情だと歌っているんですけどね。
くそったれ。
通過しなけりゃならん我々は、いつも死ぬ思いなんだ。

遂に、船の発着に多大な支障をきたすようになり、釜山市はこの歴史ある第一埠頭を放棄。
一説には、釜山税関の賄賂の闇ルートとなっていた業者の放逐が目的だったとか。
釜山駅裏手に、少なくとも普通の大韓民国の水準の接客設備を持った旅客埠頭を建設。
国際船旅客ターミナルを移転することになりました。

ところが、新ターミナル開業初日、埠頭の寸法が間違ってたために、船が着岸できないトラブルが発生。急遽、新ターミナルから旧ターミナルへ全職員が疾走。旧ターミナルで旅客受け入れをする事件が発生。
埠頭を韓国名物突貫作業で作り直すまでの数カ月間、新ターミナルと旧ターミナルが併存していました。

 

f:id:sirius-B:20191023232030j:plain
本来普通のオフィスビルで、屋上は駐車場ではなかったんですが、無理矢理スロープをつけて駐車場にしてあるのです。建物の中は通関待ちのダンボールであふれかえっています。岸壁脇のプレハブ通路を通って、船に乗るのですが、ココの通路も、複数の船の乗船待ちの旅客で大行列。人と荷物の積み込みが終われば出航1時間前でも見切り出航するのがここのルール(日本の奄美・沖縄航路とルールは同じ)。