韓国語を文法的に正しく翻訳したはずなのに、逆の意味になってしまうことがある
韓国語は、日本語と単語の並びがまったく同じということが招く落とし穴
「ちゃんとやれ!」
この一言は、韓国語教科書に忠実に受け取るならば、相手を罵倒する意図を表す言葉なのですが、実際の韓国語会話の中では、生活感のあるほほえましい情景の描写になっている場合もあります。
韓国語は日本語と単語の並びがまったく同じなので、韓国語の単語を逐一日本語の単語に変換していけば、一応、意味の通る日本語にはなります。
しかし、発言者の意図とは逆の意味にとってしまうことがあります。
その何が問題なのかというと、そういう間違いが頻繁に発生するから問題なのです。
韓国語の単語の語尾変化は4パターン。日本語は2パターン
韓国語には
(1)基本形
(2)丁寧語
(3)敬語
(4)ぞんざい語
の4形態があります。
日本の韓国語教科書には、このうち(2)と(3)だけがでてきます。
安全第一のNHKの韓国語講座では、基本的に(2)の丁寧語ばかり教えます。
なぜかというと、韓国に旅行したとき、実際高い頻度で使うのが丁寧語だから。
韓国語学習も上級になると、(3)の敬語の学習に入りますが、基本、目上の人に話す話し方。
韓国人は、敬語の学習の難しさを強調しますが、敬語のスキルが元々ある日本人にとってはそう難しいものではないです。
韓国人同士の会話では、かなり厳密さが要求されますが、外国人ならば、話せなくてもしょうがないでとおりますので、使う努力をみせる程度でOKなので、ご心配なく。
実際の韓国語会話はそれで通ります。
ネイティブっぽい「ヘヨ体」を駆使した韓国語会話に必須なのが基本形の知識
ただ、外国人ぽい韓国語ではなく、格好良く韓国語を話そうとすれば、(1)の韓国語の基本形を覚えることは必須になってきます。
基本形は、韓国でも、国語の文法の授業にしか出てこないので、普段の会話ではまったく使いません。
ただし、韓国人及び北朝鮮人がかっこいいと思っているソウルの方言(特に江南独特の喋り方)でよく使われる「ヘヨ体」を徹底的に駆使しようとすると、どうしても韓国語の基本形がわかっていないと使いこなせません。
安全第一のNHKの韓国語講座では、覚えやすいハムニダ体の使用率が高いのですが、韓国人でも使い方が難しいと考えるヘヨ体文法を使いこなしてこそ、ネイティブっぽさが醸成されるというものです。
韓国人でもよく使い方を間違える「パンマル」は、翻訳時、意味が逆転する最大の原因
なお、韓国語には(4)の『パンマル』と称する敬語の反対のぞんざい語が存在します。
日本語にも『パンマル』に相当する表現は、江戸時代にはあったようですが、明治維新後の国語教育の中で、必要ないものとされ、消滅したといわれています。
現代の日本人は、『パンマル』に相当する表現のスキルがないため、『パンマル』の習得を難しくしています。
日本人が韓国語を学ぶとき、この『パンマル』だけは、教えてくれる人がおらず、韓国で生活しながら苦労して覚えなければいけません。
例外的に、親しみをこめて、自分より若い人に使うこともありますが、安売りはしないのが基本。
血縁のある家族と同じ扱いをするつもりがなければ、自分より若い人相手でも、基本的には使ってはいけません。
血縁のある家族と同じ扱いをする前提でしか使ってはいけない『パンマル』を、目下の人を見下す意味合いで濫用してトラブルが起こるのは、韓国の日常風景です。
最初の「ちゃんとやれ!」の解説
韓国語では
「チェデロ〜」
というパンマルなので、通常、目上の人に絶対に使ってはいけない言葉です。
そのわりには、韓国の国会で、与党の質問に向かって飛ぶ野次(大抵、次の瞬間、与党と野党が大乱闘になる)で頻出します。
母親が子供を寝かしつけるため、本を読んでいる時、面倒くさくなって、本をいい加減に読んで時間短縮を図ったとき、子供が「チェデロ〜」と言ったのが原因で、怒った母親が子供を反射的に殴って、逆に子供を起こしてしまった・・・などなど。
たいへんほほえましい、生活感のある情景が目に浮かぶではありませんか。
韓国語で、単語の語尾変化のパターンを押さえることはとても重要
とすると、韓国人の話を理解する上で、
(1)基本形
(2)丁寧語
(3)敬語
(4)ぞんざい語
のうちのどれであるか判別することが、韓国語ではとても重要になっているという次第。
この判別ができれば、話す内容とは無関係に、相手が自分に敵意があるかどうかが簡単に判別がつくという次第。
韓国語会話のニュアンスの8割方は(1)基本形(2)丁寧語(3)敬語(4)ぞんざい語 をどのタイミングで使うかにかかっている
韓国語を日本語に翻訳すると、ここまで説明した重要なニュアンスが全部消えます。
日本語に翻訳すると、敵意むき出しの表現であっても、韓国語をダイレクトに聞けば、その逆ということはいくらでもあります。
韓国人の会話は、だいたい、8割くらい、こういった日本語にはないニュアンスに依存していますから、韓国語を日本語に訳す時、単語を辞書で引くように逐一翻訳していくと、逆の意味に翻訳されてしまうことがあります。