大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

KTXと新幹線との比較

移動時間の短縮のために速くなったKTX

単位時間あたりの輸送人員を最大化するために速くなった新幹線

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釜山駅

<KTX開業時の車両概要>
編成長 388m ←新幹線より20mほど短い
総重量 771.2t(乗客搭乗時) ←新幹線より300tほど軽い
最大運行速度 時速330km ←新幹線より30km/hほど速い
営業運転速度 時速300km ←新幹線より25km/hほど速い
非常制動距離 時速300kmから3,300m ←新幹線より1000mほど長い
動力 1130kw*12機=13560kw ←新幹線305kw*56機=17080kw
座席 935席 ←新幹線 1323席
特室:127席(1列3席、回転式 )←新幹線 200席
一般席:808席(1列4席、固定式)←新幹線 1123席

 

速いのはKTXだが、輸送力は新幹線の方が桁違いに大きい

KTXと新幹線と比較してみるとわかります。
KTXの最高速度は新幹線よりも25kmほど速いです。
一方、新幹線は、定員がKTXより400人近く多いです。
これは、おおよそ高速バス25台分に相当する輸送力の差です。

スピード重視のKTXに対して、単位時間あたりの輸送力重視の新幹線という性格がみごとに浮き彫りになっています。

新幹線にとって、スピードは2次的なもの。
東海道新幹線の1日の発着本数は平均378本になりますが、これを極力少ない車両数でまわそうと思ったら、走行スピードをあげて、営業回転数を増やす必要があったから、開業時の技術的限界まで速く走り、効率を追求したということになります。

 

駅で乗車するときは、この号車番号案内板を目印に、自分の乗る列車の号車を探す。KTXが、KTXが1種類、KTX山川が2種類あるのは、編成中央に機関車がある列車が存在するため、乗車位置がそれぞれ大幅に異なる。乗車位置がわからず、ホーム上をさまよっている韓国人は多い。
ITXセマウルとムグンファは在来線。在来線の列車は、KTXで懲りたので(やっぱり苦情が多発したようで)、乗車位置が揃えられている。在来線の軌間もKTXと同じ標準軌(1435mm)なので、KTXと在来線が同じホームを使用するケースが多い。

建設時、建設反対批判がえげつなかった新幹線と、国威発揚プロジェクトだったKTX

新幹線が建設された時期の国鉄は、慢性的な赤字体質だったということも大きな影響を及ぼしています。

当時のマスコミは、新幹線のことを『人類史上最悪の大馬鹿プロジェクト。新幹線より、経営を効率化して赤字を減らすことを優先せよ』といった感じで、ボロクソに非難しました。

当時の日本では、新幹線建設に批判的であることが『知性ある国民の最低限の教養』ぐらい言われていました。

そのことが原因で、新幹線プロジェクトはボコボコに叩かれまくり、新幹線完成までに、国鉄総裁以下、技師長、新幹線プロジェクトリーダーなど、続々と免職や退職にまで追い込まれました

新幹線は、このような環境下で建設されたものだけに、輸送力が命という建前は絶対だったのです。

新幹線が急ブレーキが効くようにできているのも、輸送力重視と関係があり、ブレーキが効く分、列車間隔を詰めて走らせることができます。

新幹線では、大出力の列車に一人でも多くの乗客を詰め込み、3分間隔で発車させるというアクロバットな技を駆使して営業していますが、KTXでは、このような頻発運転ができません。

韓国のKTX建設の場合、国威発揚的な意味合いが強く、日本の新幹線建設の時のようなえげつない批判はなかったように記憶しています
むしろ、『日本に追いつき、追い越せ』という、日本人にとっては不愉快ですが、ある種健全な意見が強かったように思います。

 

慢性的輸送力不足に悩むKTXでは、1ヵ月前の予約、全席指定が当たり前

慢性的輸送力不足に悩むKTXでは、1ヵ月前の予約、全席指定が当たり前となっています。

新幹線であたりまえの
 ・ 時刻表の確認不要
 ・ 基本的に事前予約は不要
 ・ 指定席も乗車直前の予約でOK
ということも、KTXでは無理です。

新幹線の感覚でKTXに乗ろうとすると、大抵満席で、切符すら買えません。
KTXは、基本的に移動時間を短縮することが目的の飛行機とおなじ感覚で運行されていますので、だいたい1ヵ月前ぐらいからの予約が必要になってきます。