大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

韓国がキャッシュレス社会になったわけ

韓国の現金を知ると、韓国のキャッシュレス普及のからくりがみえてくる

韓国の紙幣は全部で4種類

韓国のお金の単位はウォン(원)で以下の4種類になります。ちなみに、ウォン(원)を漢字で書くと『円』なのですが、日本円と判別がつかなくなるので、通常、漢字表記はしません。

 

1000ウォン札

韓国紙幣の中で最も値が小さいのが1000ウォン札です。
韓国語では「천원チョノン」と言います。
日本円でいうと大体100円くらいに当たる価値になります。
描かれている人物は、儒教の大家である「李 退渓(イ テゲ)」という人物です。
「李 退渓(イ テゲ)」は16世紀の有名な儒学者で、儒教の理論的研究で名を成した人です。

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儒教の大家の肖像が紙幣のデザインになったワケ

儒教の大家の肖像が紙幣のデザインになったのは、朴正煕大統領時代以降のことで、それ以前は、基本的に金日成の肖像が印刷された北朝鮮の紙幣同様、李承晩大統領の肖像が紙幣のデザインでした。

紙幣のデザインが韓国国民の大虐殺事件を繰り返し、最終的に国外追放処分となった李承晩大統領肖像では、韓国国民の不興を買ったというのが真相です。

この後も、韓国大統領の肖像を紙幣のデザインにしようという動きは何度かあったようですが、歴代大統領が相次いで退任と同時に逮捕・収監されるようでは、恒久的に使用可能なデザインが求められる紙幣のデザインとして大統領の肖像はふさわしくないということになったようです。

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李承晩の肖像のある500ファン紙幣。朝鮮戦争で紙屑同然と化したウォン(旧ウォン)を廃止して作られたのがファン(『環』)。100ウォン(旧ウォン)=1ファン。10ファン=1ウォン(新ウォン:現行)

 

5000ウォン札

1000ウォン札の次に大きい値になるのが5000ウォン札です。
韓国語では「오천원オーチョノン」と言います。
日本円でいうと大体500円くらいに当たる価値になります。
5000ウォンに描かれている人物は「李栗谷(イ ユンゴク)」といって、16世紀の有名な儒学者で、実学としての儒教の研究で名を成した人です。

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10000ウォン札

韓国紙幣の中で最も使い勝手が良いのがこの10000ウォン札。
韓国語では「만원マノン」と言います。
日本円でいうと大体1000円くらいに当たる価値で、食事する時などにも大体これ一枚で対応できます。

描かれている人物はハングル文字を作った事で有名な「世宗大王(セジョンダイオウ)」。
世宗は、名前に『宗』という字がつくくらいなので、朝鮮時代は小物扱いだったのですが(大物扱いなら『世祖』となるはず)、現代韓国では最も評価が高い朝鮮王朝時代の王なので、朝鮮王の命名規則を無視しているのではありますが、「世宗大王」と呼ばれます。

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長らく最高額紙幣だった10000ウォン札

韓国では、長らく10000ウォン札を最高額紙幣としていました。
その最大の理由は、偽札の防止。
いかんせん、日本の紙幣ほどの偽造防止技術をもたなかった韓国において、下手に高額紙幣を発行してしまうと、紙幣の偽造を誘発してしまいます。

誰が韓国紙幣の偽造をする可能性が高いかというと、紙幣偽造を生業とする北朝鮮政府。
北朝鮮政府は、なんたって、国家事業として紙幣偽造をしてきますから、相当高度な紙幣偽造が可能なのですが、皆様御存知のとおり、世界中から経済制裁を受けている関係上、紙とインクの大量調達が困難という事情があって、偽造紙幣の大量生産は甚だ困難という事情があります。
色付きの特殊紙を使用し、特殊磁気インクを使用する低額紙幣10000ウォン札を韓国の最高額紙幣とするのは、北朝鮮の紙幣偽造対策としては理にかなっているのです。

しかし、日本よりかなり物価水準の高いソウルで現金で買い物をしようとすると、常に札束をいくつも持ち歩かないといけません。
緑色の10000ウォン札の様子が白菜に似ていて、たいした価値もないことから「배춧입ペチュニプ(白菜の葉)」とも揶揄されていました。

パソコンのいいのを買おうと思ったら、500万ウォン(50万円相当)は用意しなければいけないのですが、現金だと10000ウォン札500枚。
レンガ1個分ぐらいの大きさになります。
自動車を現金で買おうと思ったら、笑っちゃうぐらい大量のお札をカバンに詰めて自動車販売店に持って行かなければいけません。

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배춧입ペチュニプ(白菜の葉)

 

50000ウォン札

そのようなシュールな日常風景をいくらかでも改善しようということで発行されたのが、韓国紙幣の中で最高額紙幣が50000ウォン札です。
韓国語では「오만원オーマノン」と言います。
日本円でいうと大体5000円くらいに当たる価値です。
50000ウォン札は2009年6月に発行された最も新しい紙幣になります。
韓国の貨幣では初めて実存女性が描かれたという事で、話題になりました。
描かれた人物は「申 師任堂(シン サインダン)」といい、5000ウォンの人物「李栗谷(イユンゴク)」の母。
女流書画家として朝鮮王朝中期に活躍しました。

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笑っちゃうぐらい大量のお札の持ち歩きをしないためのキャッシュレス

いくら50000ウォン札がある今日でも、韓国で高額な買い物をしようとなると、現金払いだと、笑っちゃうぐらい大量のお札をカバンに詰めてお店に行かなければいけません。
なんといっても体力的につらい。
そこで、昔から、一般市民にも小切手決済が普及しており、現金を持ち歩かないことが当たり前でした。
現在は、面倒な小切手よりも、クレジットカードの方が人気となっています。

 

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これがわりと韓国の日常風景。お店の1日の売上っていうとこんな感じ。

 

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一昔前まで韓国で広く使われていたチェック(小切手)

 

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今は断然、手間のかからないクレジットカードが人気。ちなみに、韓国人はやたら借金を抱えているという統計データーが存在するが、これは、クレジット決済を行った場合、統計上、全て借金として計上される関係で、年間の韓国人1人あたりの借金総額は膨大なものになるというあんばい。当然、借金総額の数字が大きいからといって、簡単に破産するわけではない。