成田から韓国へ向かう飛行機は、横田基地の管制空域を避けるため、埼玉上空を通過し、松本空港を目指して飛行するのだが、この空域からだと進行方向左側に富士山がよく見える。
実際に見る富士山はとても大きい。
そして、思わずオーッと唸ってしまうほど標高が高い。
世界中に、富士山以上の標高の山はあまたあるが、海から屹立する独立峰で、4千メートル近い山というのはあまりない。
ということは、この山を登山をする人々は、海面から数時間でチベット並の標高へ移動することになるので、高度順応する暇などないということだ。
チベットに旅行する人が、何日もかけて高度順応するのでなければ、酸素ボンベなど周到な準備が必要なことぐらい、だれにでもわかる。
まさか、富士山が、チベット並の標高をもつ山であるなどとは、誰も思わない。
そのぶん、標高が低い割に高山病で命を落とす危険が非常に高い山ということができる。
写真でしか富士山を見たことのない外国人が、無謀にも弾丸登山をしでかしてしまう最大の原因は、この山のずば抜けた大きさを想像できなかったことに起因する事故なのである。