北朝鮮が実現できなかった共産主義が完成しているのが韓国の田舎
ソウルの街を見る限りにおいては、ある面、日本を凌駕するほどの超近代都市。
日本より低い経済力で、どうしてこうなるのかというと、分散型の日本と異なり、韓国の富がソウルに一極集中しているから。
ソウルを離れるに従って、韓国の風景はみすぼらしくなっていき、朝鮮半島南岸に達すると、もう、そこは朴正煕時代の高度成長からすら取り残され、一直線に劣化、風化していくままの風景があります。
韓国の田舎の荒れっぷりは国家的問題で、ここにきて、政府も相当な国家予算をバラ撒いて田舎の生活改善を計っている。
昔ながらのレンガ造の平家は居住性の悪さから造られなくなってきており、切妻屋根の木造の建物が増えている。とはいうのの、この集落でも朝鮮王朝時代に建てられた築100年以上の土壁の住宅が半分以上ある。
厳密に言うと、国道沿いは、ガソリンスタンドのある周辺を中心に、焼肉屋などが何軒か建っていて、若干なりとも発展しているのですが、その国道も一歩外れると、一直線に劣化、風化していくままの風景があります。
ビーチパラソルが並ぶ守山市場。
ここでは、売っている商品の目利きができないと、クズモノを高い値段で掴まされます。
守山市場
すこし年配の人は、これを「在来市場」と言って、商品の質を警戒する。良品を見つけることがかなり難しい。田舎では、粗悪品でもよいので、とにかく食べ物が欲しいという人が少なからずいるので、このような商売が成り立っている。田舎の在来市場での買い物は、韓国人でもかなり難儀なことだ。
白菜がアスファルトの道路に並べられ、売られています。
ソウルでこんなことをしたら、保健所の職員がすっとんできて、店主は摘発されます。
田舎でも、さすがに農協はこういうことを奨励しているわけではないので、少なくはなっていますが、農協の出荷規格を外れたものが在来市場に流れることはよくあることで、そういったものがこういう販売のされ方をすることはあります。
「キチキチやっていたらだれも生活できなくなるからね、ソウルみたいにさ、なんでもかんでも日本のまねするのもどうかと思うよ」
この街自体、非常に高齢化が進んでいて、住民は70歳以上の老人ばかり。
古き貧乏だった時代の韓国の習俗がそのまま残ってるのです。
風景も習俗も、植民地時代からほとんど変化していないので、かなりもうろくしても、昔の記憶を頼りに、一人でなんとかやっていけるとのこと。
このような貧困を効果的に一掃するには、ソウルの絶大なる経済力を背景に、田舎に共産主義を導入するという処方箋がもっとも効率的に機能するということを発見した大韓民国。
ただし、共産主義は違法という現実が目下の悩みの種らしいです。
田舎の生活の中心、マウル会館(公民館)は韓国版人民公社
街外れのマウル会館(公民館)に行けば、政府のお金で3食べられるし、マウル会館で貰う切符を農協に持っていけば、冬の暖房の燃料はタダでくれる。
北朝鮮が目指して挫折した共産主義が、なぜか韓国の田舎で実現しているのです。
マウル会館
韓国の田舎の住民は、マウル会館で朝と夕方開催される朝礼と夕礼に出席し、点呼を受けなければいけない。
この時、自治会の婦人部による炊き出しがあり、食事が出る。昼は、朝食の余り物でしのげる。また、各種行政サービスのクーポンが朝礼と夕礼の時に配布される。これをもらうと、実質タダで生活できる。
ソウルなど都市部でかき集めた税金で運営されているのだが、これは、事実上の一国二制度である。
北朝鮮が目指した共産社会の理想がここに実現しているではないか。これを共産主義と言わずして何と言おう。
ただし、韓国では共産主義、共産党は違法なので、政府もこれを堂々と大手を振って田舎の住民に強制できない。集落外に勤務先があるサラリーマンなど自力で生活できる人だと、朝礼と夕礼をサボる人も多いが、クーポンが没収になるだけで、怒られることはない。