大韓民国観察記

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

乗客にやさしくないソウル市内バス

ソウル市内バスは、地元民向けのマニアックな交通機関

韓国人でもよそ者はほとんど使えない交通機関

同じバスでも、基幹公通機関の高速バスや市外バスとくらべて、市内バスの乗り方はぐっと難しくなります。
基本的に、市内バスと称する乗り物は、地元民専用の交通機関という位置付けなので、韓国人でも、初めての土地に行けばまず乗れません。

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ソウルのグリーンバス。
基本的に、前輪上の小さな文字の行き先・経由地表示を瞬時に判読して乗るわけだが、これは韓国人でも難しい。
そこで、大抵の人は、知り合いに、どのバスに乗ったらいいか予め聞いておき、系統番号で自分の乗るバスを把握している。
そこで、市内バスは、停車中は出入り口に系統番号のボードが自動的に出るようになっている。

 

韓国全土でほぼ共通している乗り方

(1)バスの来る時刻を地元の人に聞いて確認する必要があります
(停留所に時刻表は基本的にありません)

(2)停留所付近に立つ。
大都市以外では、そこが停留所であることを示す看板などないことも多いので、地元の人に聞いて場所を確認する必要があります

(3)バスが見えたら、バスに乗る意思があることを猛烈にアピールする。
それをやらないとバスは速度を上げて通過していってしまいます

(4)バスが減速したら、止まりそうな位置を見定め、離れた場所なら全速力でダッシュする

(5)大都市では、前乗り、後ろ下り。田舎では路線によって異なる。
料金は交通カードで支払う。
交通カードはコンビニで買う。
どうしても現金で支払う場合は、たくさんの千ウォン札、500ウォン硬貨、100ウォン硬貨の準備が必要。
なお、現金で支払う場合、10%ほど割高になる。

(6)乗ったら、席に座るか、立っている場合はしっかりと掴まる。
運転は荒いので、カーブで吹っ飛ばされる。

(7)ひとつ前の停留所に差し掛かったら、出口付近に移動しておく。
市内バスの車内放送では、次の停留所と、次の次の停留所の名前が放送されるが、ひとつ前の停留所に差し掛かったら、出口付近に移動する必要があるため。

(8)ひとつ前の停留所を発車したらすかさず降車ボタンを押す。
押すタイミングが遅すぎると、車線変更不能などの理由で通過されることがよくある。

(9)停車したら、すかさず降りる必要がある。
ただし、降車ボタンが押されたタイミングや渋滞の関係で、道路の真ん中で降ろされる場合も多々あるので、降りたあと自動車に轢かれないように注意が必要。

 

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バスが遠くに止まってしまったら、置いていかれないよう、猛然とダッシュ

 

地下鉄より圧倒的に速い移動を提供するのが市内バスの使命

市内バスの良さは、地下鉄で行くより圧倒的に速く目的地に到着できるというところにあります。
特にソウルの市内バスではこの傾向が大きく、乗客もそれを期待して乗っているので、バスの運転手も目一杯スピードを上げて走っていきます。

トップギヤーでアクセルべた踏みが当たり前。
時速100kmで市街地を爆走する市内バスは、基本、60km/hの速度制限無視。
トロトロゆっくり走る日本の路線バスとは別次元の乗り物です。

あおり運転、直前割り込み当たり前。
相手が乗用車なら、積極的にぶつけにきますし、車間距離を詰められ、クラクションをガンガン鳴らされるので、自動車を運転する人達からは例外なく恐れられています。

車格の違いから、一般道ではノロマな高速バス・市外バスにだって、市内バスは容赦しません。

それで文句を言う乗客はいません。乗客は、地下鉄で行くより圧倒的に速く目的地に到着することを期待して乗っているので、いわば乗客は全員共犯者。
最近では、一般車にとって危険な市内バスを隔離する目的で、ソウル市内じゅう、バスレーンが設置されています。

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道路中央の安全地帯上にバス停が集中設置されているケースもある。バスは途切れなくやってくるので、自分の乗るバスがいつ来るか気が気ではない

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バス停とバス停周辺にバス接近表示器が設置されているケースもある。慣れれば便利なものだが、韓国人であっても、よそ者にはほとんど理解不能なシロモノ。

ソウルでは次のような種類の市内バスがあります。
(1)レッドバス(都市間連絡バス)
(2)ブルーバス(幹線バス)
(3)グリーンバス(支線バス)
(4)イエローバス(都心循環バス)
(5)マウルバス(広大な住宅団地内を循環するようなマイクロバス)
他の都市に行くと、バスの分類も乗りかたも全く違うので、基本的に、地元民専用の交通機関という位置付けなのがよくわかります。

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田舎の農漁村バス(公営)
最近は、田舎のバスがボロだとは限らない。
生活格差是正関係の補助金が贅沢に投入され、オプションフル装備で配備されているケースが目立つ。

市外バスターミナルの中に乗り入れてくるが、バスターミナルで切符は売っていない。市内バス同様、乗ってから運転席横のカードリーダーに交通カードをタッチする。

ちなみに、田舎だと次の3区分があります。
(1)緩行市外バス(市外バス)
(2)農漁村バス(公営市内バス)
(3)私営バス(バス会社名で呼ばれる市内バス)

中小都市だと、(3)の私営バスの比率が高くなっているというあんばい。

ただ、高速で接近するバスの行先案内板のハングルで書かれた行き先(非常にローカルな地名)を瞬間的に解読し、適切なバスに乗ることは地元民でもかなり難しく、バスの系統番号をあらかじめ覚えておいて、その番号のバスが来たら、ダッシュするようにしています。