大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

副作用克服の歴史:高麗人蔘:水蔘 白蔘 紅蔘

高麗人蔘は、たいへん副作用の強い漢方薬

高麗人蔘は、たいへん副作用の強い漢方薬です。
使い方を間違えるとシャレになりません。
私も過去に風邪のひき始めで微熱があるとき時に生の高麗人蔘の焼酎漬けを飲んだところ、死ぬんじゃないかと思うぐらい風邪が悪化しました。
心臓がバクバクいって、意識が飛んでと、まあ、ロクなもんじゃなかったです。

 

強い副作用を回避するため、長時間の熱水抽出が基本

実は、この副作用。
昔から危険性がかなり問題視されていて、この克服の歴史が高麗人蔘の歴史といっても過言ではありませんでした。
特にアルコール抽出は、危険な成分まで抽出される可能性があるということで韓国の医療関係者の間では邪道視され、長時間の熱水抽出が基本とされています。

 

一般庶民の間では、この強い副作用こそが強烈な薬効の証と考え、好まれている

しかし、一般庶民の間では、この強い副作用こそが強烈な薬効の証と考えられている節があります。それで、現在でも生の高麗人蔘が盛んに取引されています。

 

 

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水蔘
効能がこの状態が最も強いと主張する人も多いが、いかんせん副作用も強い。
水蔘の焼酎漬けは、本当に健康によいのかどうかはわからない。
細根に薬効性分が多いので、細根がきれいに残っているものを購入するとよい。

 

 

水蔘(スサム:発音は「スサン」:日本名は「すいじん」)

生の高麗人蔘を『水蔘』といいます。

蜂蜜をつけて生食するという利用法も広くおこなわれているのですが、それだと薬用成分が吸収されずに排泄されてしまう量が多いため、もったいない・・・というわけで、焼酎漬にする方法も広く行われています。
こうすると、薬用成分が無駄なくアルコール抽出され、ぐっと利用効率が高まります。

本当はこの方法、副作用の問題もあって、危険な方法といわれているのですが、健康な人が少量、嗜好品としてたしなむぐらいならほとんど問題はないとされ、むしろ、少し副作用があった方が効いている実感があるということで、『水蔘』のアルコール漬けは、人気があります。

『水蔘』は日本に持ち込めないという誤解が結構あるのですが、実は持ち込めます。
本来なら日本でもっと見かけることがあってもよいと思われます。
人参よりはるかに日持ちのしない野菜が相当輸入されているくらいですから。

『水蔘』は小売容器に密封された製品として販売されることが多く、韓国の植物検疫機関発行の「植物検疫証明書」が揃っていることもあって、輸入が可能です。

 

白蔘(ペクサム:発音は「ペクサン」:日本名は「はくじん」)

天日乾燥すると、多少なりとも効果がマイルドになるうえ、保存性も格段に良くなるので、中国を中心に、カチカチになるまで天日乾燥した高麗人蔘が普及しています。
これを『白蔘』といいます。
後出の紅蔘より味がよいため、中国を中心に人気があります。

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白蔘
細根を除去し、先を丸めて乾燥させる
中国、台湾で好まれる。
細根を取り除く場合が多い。

 

 

紅蔘(ホンサム:発音は「ホンサン」:日本名は「こうじん」)

現在の主流は、蒸気で蒸した後(色が赤くなる)、カチカチになるまで天日乾燥した『紅蔘』が最も普及しています。
こうすることで、『水蔘』の過激な副作用がなくなり、薬用成分の利用効率があがります。

ならば、『紅蔘』で決まりというところなのですが、高麗人蔘の消費が多い中国では、とんと人気がない。

実は『紅蔘』の最大の欠点は、味が滅茶苦茶だということ。
ただでさえ苦い人参が、さらに苦くなり、レトルト臭がついてしまうため、ただでさえ悪い味が、とんでもなく悪くなってしまいます。

慣れれば癖になる味の『水蔘』、まあまあ飲める水準の『白蔘』とは比較になりません。
それで、『水蔘』や『白蔘』はなくならないのです。
ちなみに、日本人相手の場合は、『紅蔘』でないとあまり売れないのだそうで。
そこはスペック重視の日本人らしさが現れています。

 

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紅蔘
空港の免税店などで缶入りで売っている。濃縮液(エキス)やタブレットの半値くらい。細根を取り除く場合が多い。

 

 

黒蔘(フクサム:発音は「フッサン」:日本名は「こくじん」)

歴史上では、9回蒸熱と乾燥を繰り返す『黒蔘』というものも存在するのですが、副作用がまったくない代わりに、効果もさほどないということで、現在ではほとんど生産されていません。