大韓民国観察記Neo

韓国の、どうでもいい、重箱の隅をつつくブログ。

韓国の夏の定番 チャメ(マクワウリ)

韓国の夏の定番といえばチャメ(マクワウリ)

5個ぐらい一気にむいて、腹一杯食べるのがデフォルト

日本では、かつて、夏の果物として、スイカと並んで、マクワウリ(真桑瓜)が広く販売されていました。
あっさりとした癖のない甘みと香りのマクワウリは、韓国、中国においても、夏の風物詩であります。

マクワウリは、メロンのように1個づつ食べるものではなく、5個ぐらい一気にむいて、お腹いっぱいになるまで、ガンガン食べるもの。
従って、箱買いが普通。
1箱3日で食べ切ったという話もめずらしくない。

夏は3食マクワウリをやってしまい、栄養失調になったという笑い話もあるほどです。 

 

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日本のマクワウリ 黄金まくわ

 

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日本のマクワウリ 銀泉まくわ

どちらも希少で、ほとんど入手不可能な状態です。

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日本のマクワウリ ニューメロン
緑色で食欲はそそられないが、味と香りが濃厚
この品種から、プリンスメロンが育成された

 

日本では、昭和40年代に、プリンスメロンが登場し、マウワウリが廃れた

日本では、昭和40年代になると、所得向上を背景として、1ヶ月の給料の額とほぼ同額もする高級果物としてのメロンへの関心が高まりました。

もちろん庶民は、そんな高価なメロンなどおいそれと食べられないので、庶民のためのメロンとして、マクワウリの品種改良によりプリンスメロンがサカタ種苗により作出されました。

なぜプリンスメロンかというと、作出された時期が、上皇夫妻の御成婚の時期だったからというもの。
ネーミングの絶妙さもあって、廉価版メロンとしてプリンスメロンが広く普及し、その陰で、マクワウリは日本の青果店、スーパーの棚から姿を消しました。

 

 

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プリンスメロン
ネットができない品種だが、果肉がオレンジだったことが人気に秘密だった

プリンスメロンは、つる割れ病とうどんこ病に耐性がなく、クロルピクリン(毒ガス)で作るたびに土壌を完全消毒するのは当然のこと(これが結構危い作業)、近くに森林があると、小麦粉を大量にぶっかけたように真っ白けになって、毎週のように農薬(殺菌剤)をかけないと実がつかないという弱点があって(殺菌剤を使用すると、農家は散布後2〜3日は、酒が飲めない。飲むと熱だしてぶっ倒れる)、農家からは徹底的に嫌われ、アンデスメロンが登場した現在ではほとんど栽培されていません。
今栽培するなら、森林から離れた市街地近くの畑で作るようにしますし、今は移動式蒸気消毒機が普及していますので、土壌消毒は安全な蒸気消毒にすると思います(クロピクは、危ないけど手軽に使えるんで捨て難い)。

 

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アンデスメロン
ネットができる点で人気があったものの、果肉が緑色である点が弱点

 

アンデス山脈とは無関係なアンデスメロンプリンスメロンの後継となるが・・・1個ずつしか売れないのが最大の弱点

ちなみにアンデスメロンの『アンデス』とは、アンデス山脈とはまったく関係がなく、プリンスメロンの弱点だったうどんこ病とつる割れ病に強いことから、そんな危険を犯さなくても作れる「安心ですメロン」というネーミングだそうです。当初「安心ですメロン」で売り出そうとしたのですが、そうするとプリンスメロンがいかにも危険と言っているようなものだったことから、略して「アンデスメロン」となったという経緯があります。

プリンスメロンにしろ、アンデスメロンにしろ、マクワウリのように、箱でガンガン売れれば大儲けだったのですけれど、普通メロンといったら、1家庭で1個買うか買わないかの世界。これがメロンの最大の弱点でありました。

生真面目な日本の農家は、そういった数々の危険も顧みず、プリンスメロンを大量生産したわけですが、韓国の農家は、例え儲かったとしても、自分の命と引き換えにするようなことは基本的に絶対やらない(だから韓国は先進国になれなかったという話もある)。

しかも、プリンスメロンアンデスメロンは、サカタ種苗の商品で、品種の海外流出対策が非常に厳重であったことに加えて、メロン臭が相当強烈で青臭かったために、韓国、中国ではまず受け入れられない味であったということから、なおさら手を出す必然性がありませんでした。

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韓国のチャメ(マクワウリ)日本の銀泉まくわそのもの。
作り方にもよると思うが、韓国のチャメは、
味と香りがやや濃い

 

 

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韓国のチャメは、メロンのように1個づつ食べるものではなく、5個ぐらい一気にむいて、お腹いっぱいになるまで、ガンガン食べるもの。従って、箱買いが普通。
1箱3日で食べ切ったという話もめずらしくない。

 

マクワウリはメロンと違ってかなり安いが、箱単位でガンガン消費されるものなので、農家は結構儲かるらしい

そこで、韓国では、栽培が簡単かつ安全なマクワウリ(真桑瓜)が現在も大量に生産されています。
ただ、プリンスメロンアンデスメロンが1個食べれば充分なほど濃厚な味なのに対し、マクワウリ(真桑瓜)は1回に5〜6個食べても平気な淡泊であっさりとした味。
箱買いしても、だいたい1週間でなくなります。

マクワウリの単価はプリンスメロンアンデスメロンよりずっと安いのですが、売れる個数が非常に多いので、農家としては結構儲かっているようです。

5月下旬頃から、スーパーの果物売場がマクワウリで占領されるようになります。