キランソウは、韓国ではありふれた多年生草本です。
農村では、一面紫色になるほど、そこらじゅうに生えています。
原産は日本ですが、西日本を中心に分布し、朝鮮半島、中国にも広く分布しています。
花の色はスミレに似ていますが、花の大きさはずっと小さく、シソの仲間です。
なぜ、これほどまでに韓国にキランソウが生えているのか、謎ですが、この植物は薬草としてなかなか強力な薬効があるがゆえ、朝鮮王朝時代、日帝時代、李承晩時代、軍事政権時代と長らく続いた混乱期にあって、貴重な薬草として大事にされ、場合によっては、増殖されたのではないかと思われます。
この草は薬草で、開花期の全草を乾燥したものは、筋骨草(きんこつそう)とよばれる生薬となります。
薬効は収斂作用(血管を収縮させる)という、なかなかえぐいものであり、分量を間違えれば毒となる西洋医学の薬のような作用があるものゆえ、漢方薬には使用されません。
高血圧、鎮咳、去淡、解熱、健胃、下痢止め、切り傷などに効果があるとされますが、収斂作用のある毒物をそんなものに使用していいんかいという疑問は拭いきれず、民間薬としての利用にとどまっています。
内服薬としては、花が咲いていないと、他の植物との見分けがつかないので、花の咲く4月頃に全草を採取して、水洗い後に天日乾燥して調製されます。
高血圧、解熱、下痢止めには、乾燥品1日量5 - 7グラムを水300 ㏄で半量になるまでとろ火で煎じるか、1日量15グラムを500 ccの水で煎した汁を、1日3回分服する用法が知られています。
外用薬としては、火傷、切り傷、毒虫の刺傷による腫れ、あせもなどに、生葉汁を直接つける用法が知られていますが、これは収斂作用による止血、炎症の沈静化をねらったものになります。
腫れ物、打撲には、火であぶって柔らかくなった葉や茎を、紙に広げて張り付けるという用法もあります。